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トラック運送業の労務管理など デジタコデータ活用の話題を取り上げます。2024年4月1日適用の新しい改善基準について掘り下げた記事を連載しています。

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新改善基準の話・第40回 フェリー乗船の特例 その4

フェリー乗船特例の4つの要素の最後です。
❹ フェリー乗船時間が「8時間」を超えた場合、フェリー下船時刻を次の勤務日開始時刻とする(2人乗務の場合は「4時間」、隔日勤務の場合は「2時間」)。

これ、このままだと問題が発生してしまいます。

従来の改善基準では必要な休息期間は継続8時間以上でしたが、新改善基準ではそれが長距離運送の場合を除いて継続9時間以上に延長されたからです。

フェリー乗船時間が8時間超9時間未満の場合、フェリー下船時刻が次の勤務開始時刻だとすると当の勤務日はそこで終わりなので、必要な休息期間9時間を確保することができません。

フェリー乗船時間がたまたまその長さだったというだけで、強制的に改善基準の休息期間項目の未遵守が発生してしまうのです。

改善基準の条文を作っている人たちはたぶんこのことを見落としていて、あとから気づいたのでしょう。

新改善基準告示・通達よりも後で出された「Q&A」「3-26」にこんなことが書かれています。

(A)施行通達記第2の4(8)エにより、トラック運転者については、フェリーの乗船時間が8時間(2人乗務の場合には4時間、隔日勤務の場合には 20 時間)を超える場合には、「原則としてフェリー下船時刻から次の勤務が開始される」とされていますが、例えばフェリー乗船時間が8時間である場合、通常、これを休息期間(下限9時間)から減算しても1時間が残るため、別途1時間以上の休息期間を確保した上で、その休息期間が終了した時点で、次の勤務が開始されることになります。(「改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A」「3-26」 PDF 40ページ)
必要休息期間9時間に足りない分の休息期間をフェリー下船後に別途おぎなってから次の勤務開始になる、ということです。

ただ、フェリー乗船時間を除く本来の休息期間は、分割休息の場合であっても1回あたり継続3時間以上でなければならないことになっています。

だから1時間ポッキリの休息期間なんて無いはずなんですが、この場合はしかたなく継続3時間未満でも休息期間と認めることにしたのでしょう。

※ ここに書かれている「1時間以上の休息期間」については、次のような別の解釈も成り立つかもしれません。
休息期間は継続3時間以上と決まっているのだから、ここでの「1時間以上の休息期間」に「3時間未満でも休息期間と認める」などという含意はない。「1時間以上かつ休息期間の条件(継続3時間以上)を満たす期間」という意味であり、実質的には「3時間以上の休息期間」ということになる。
どちらの解釈が正しいのか、念のため労働局に問い合わせておこうと思います。

とにかく、フェリー乗船時間が8時間超9時間未満の場合は、必要休息期間9時間との差かそれ以上の長さの休息期間を下船後に確保する必要があり、その休息期間が終わった時点から次の勤務が始まる、ということです。

*    *    *

この「Q&A」「3-26」には小さなミスがあります。

例として挙げられている「フェリー乗船時間が8時間である場合」は「フェリーの乗船時間が8時間を超える場合」に該当しません。

ただの凡ミスだと思って目をつぶれば、言いたいことはわかります。

ただ、もしこれがミスでないと仮定すると、たとえばフェリー乗船時間が7時間であった場合にも、下船後に2時間の「休息期間」をおぎなえば、その終了時点から次の勤務が始まることになり、当勤務の必要休息期間9時間も満たされたことになるんじゃないか、という疑問が湧いてきます。

8時間でも7時間でも「8時間を超える場合」でない点で違いはありませんから。

こんな疑問をいだかせないように、ミスであればきちんと訂正して欲しいと思います。
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